いくつかの会社で働く中で、またいろんなチームで働く中で、チーム作りやリーダー論に関して考えるきっかけとなりました。また、最近いろいろなマネジメントに関する本も読んでみました。所属している組織の中ではまだまだ末端の存在ですが、現時点でそれなりに感じていることをまとめました。
マネジメントに関して読んだ本
- 『新装版 外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント』山口周(2023)
- 『新 管理職1年目の教科書 外資系マネージャーが必ず成果を上げる36のルール』櫻田毅(2023)
- 『リーダーの仮面-「いちプレーヤー」から「マネージャー」に頭を切り替える思考法』安藤広大(2020)
- 『とにかく仕組化-人の上に立ち続ける思考法』安藤広大(2023)
- 『多様性の科学』マシュー・サイド(2021)
どの本もかなり有名で書店のマネジメントに関する本のコーナーに行けば、必ず横置きされているといっても過言ではないほどよく売られている本。
結論、現時点の私にとって内容がしっくりきたのは『多様性の科学』。
なお、『多様性の科学』については以前にも記事に取り上げている。多様な個々の能力を最大限に引き出すことを説いたこの本は、『アイシールド21』や『ONE PIECE』といった少年漫画好きの私にはたまらない。強みと弱みのはっきりとした個性あるチームメンバーの、強みを最大限に機能させ、最高のチームとして戦う。やはりそういうのに憧れる。
一方で、『リーダーの仮面』や『とにかく仕組化』の安藤さんの本では、半永久的に会社を継続させていく上で大切なこととして、「適材適所は存在しない」、「社会人は代替可能な歯車」ということを前提に、「脱属人化」を説く。確かにこれらの主張も、日々業務をしている上で非常に理解できる。個人の能力に頼ってしまっていては、それは会社にとってリスクであり、会社の継続性に問題がでる。大企業であればあるほど、より組織化された仕組みと脱属人化された業務フローが必要であり、そうすることで半永久的に会社が継続していく。まさに会社が「イチジュウ(1→10)」のフェーズである場合に、特にそういった整備が必要になると思う。
ただ、「ゼロイチ(0→1)」のフェーズだとどうだろう。起業した直後の駆け出しのころや、新規プロジェクトの立ち上がりの時期や、新しい部署などができたとき。やはりある程度の属人的な駆動力が必要であると思うし、そのためには適材適所で個々の強みを最大限に発揮してもらう必要があると思う。自分自身、いくつかのプロジェクトで働く中で、やはりプロジェクトがある程度軌道に乗るまでは、如何に個人がそれぞれの強みを最大限に発揮していくかが重要なのではないかと肌で感じている。
よって、これ以降の話も、前提として「プロジェクトが駆け出しの段階の比較的少人数のチーム」で、自分がリーダーだった時、どういったチームを作りたいか、またどんなリーダーになりたいかについて考えをまとめていく。
どんなチームを作りたいか?
どんなチームを作りたいかに対する答えは、結論、次の一言だ。
- 個々の多様性の力が最大限に発揮されるチーム
チームメンバーの一人一人には強みと弱みがある。強みと弱みは言い換えると、得意・不得意でもあり、経験・未経験でもあり、興味・無関心であるとも言えるだろう。個人個人ばらつきがあるはずだ。チームとしてのアウトプットを最大化するために、それぞれが自らの役割を把握し、適材適所で活躍する。そんなチームを作りたい。
またこれ以降で、そのために「どんなリーダーであるべき」か、そしてチームとしての「アウトプットとは何か」を記していく。
どんなリーダーになりたいか?
結論、次の3点に集約される。
- 個々の強みと弱みをよく理解するリーダー
- 「目的(存在意義・ビジョン)」と「行動指針(ルール)」を明確化させるリーダー
- 君子豹変(間違いを認め軌道修正)できるリーダー
まず一つ目。チームが多様性の力を発揮するために、リーダーはチームメンバーのそれぞれのバックグラウンド(働いてきた会社・業務経験・資格)を把握し、また一緒に業務をする中でチームメンバーの強みと弱みを迅速に捉えることが必要。
次に二つ目。多様なチームをまとめ上げ、一つのゴールを達成させるためには、リーダーはプロジェクトの目的と行動指針を明確化させることが必要。多様性のあるチームの弱点として、意見がまとまらないこと、方向感がバラバラになることが挙げられる。しかし一方でガチガチな細かいルールを作りすぎては多様性の力が発揮されない。よって、絶対にぶれない軸としてチームの目的を明確化し、それを達成するための最低限の行動指針を明確化させることが求められる。
次に三つ目。チームメンバーのそれぞれの意見をしっかりと傾聴した上で、自分の指示・考えが間違っていると判断した瞬間に、即座に間違いを素直に認め、方向転換できるリーダーであること。リーダーが自分の考えに凝り固まってしまっていたり、自分の意見が絶対的に正しいと信じきってしまっていると(一見それは強いリーダーシップにも見えるが)、せっかくのチームの多様性の良さが失われてしまう。傾聴力と君子豹変力が求められるのだ。
ここまで書いて思うのは、次に本を読んだりして勉強したいのは、人の強みを把握する方法などについて書かれた人事系の本かなと思う。現時点では、一緒に業務をしていてなんとなく感覚的に感じる「人の良いところ」「人のすごいところ」などであるが、もう少し構造的に把握できるはずなので、そのあたりを構造的に、また言語化できるようになりたいと思う。
チームのアウトプットを最大化させるには?
結論、チームのアウトプットの公式は次のようなものだと考える。
- スピード x 品質 x 組織力
スピードとは?
業務の作業スピードと意思決定のスピードである。特に意思決定のスピードを速めるにはポイントは2つあると考える。1つは、繰り返しにはなるが「目的」と「行動指針」が明確化されていること。「目的」と「行動指針」が定められていることで、個々人が迷ったときにはその目的と行動指針に立ち返り、自分の裁量の範囲内で物事を判断・決定することができる。2つ目は、物理的距離だ。リモートワークが進んでいる世の中ではあるが、正直、プロジェクトの立ち上がりの段階では物理的距離が近い環境(一つのオフィス)で皆が横の情報を連携しながらそれぞれの作業を進めたり、すぐに相談できることで、圧倒的にスピードが異なるという点だ(物理的距離に関しては山口さんの本でも触れられている)。常に横連携が取れる環境であることで「車輪の再開発」という、すでに誰かが行った作業を知らずにもう一度いちから資料を作成してしまうなどということも防げるだろう。
品質とは?
パワポ資料の見栄えの良さでは決してない。櫻田さんの本を読んでいて一番印象的な箇所の一つで「質とは完成度ではなくニーズへの合致性」という言葉がある。まさにその通りだと思う。一人で仕事を抱え込んで、どれほどきれいなパワポを作成しようと、それは顧客のニーズに合致していなければただの自己満足であり、時間の無駄使いである。資料を作り始めたら、早い段階で上司に相談、また早い段階で方向性を顧客とも確認しておくのが大切である。顧客自身が気づいていないニーズを見つけて提供するというのもあるが、あくまでそれは顧客が求めるニーズを十分に達成してからの+αである(この点も山口さんの本で触れられている)。
組織力とは?
まさにこれはここまで上で話してきた、「チームの多様性(個々の強み)xリーダーのリーダー力(マネジメント力)」のことでもあると言える。加えて、チームのそれぞれがリーダーシップを発揮することや、安藤さんの本で書かれているように属人化すべきでないことは仕組化することも大切だろう。
少し話はそれるが、「会議」についても本を読んで思慮を得た部分を備忘録的に記しておく。基本的には櫻田さんの本に書かれていた内容であったと思う。
・会議は合意形成の場ではなく、会議オーナー(部長・課長など意思決定者)がその場で結論を出す場である。
・会議の冒頭に、会議のオーナーが誰であるかと目的を明らかにする。
・Nice to haveではなくMust haveで仕事をする。
すなわち、一応出ておいた方が良いからという念のために会議に参加するくらいなら、本当にやるべき仕事に時間を使うべきという考え方である。(日本人は人の財布を盗むことはないが、平気で人の時間を盗むともいわれるようだ)
おわりに
ということで、マネジメントに関する本をいろいろと読んだ中で、とりあえず現時点で考えている内容を書いておいた。またこれからいろいろと経験していく中で考えも変わっていくと思うので。
それでは。
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