【マネジメント】『人を選ぶ技術』から学ぶ、人の見極め方

マネジメント

この前、どんなリーダーになりたいかということを考えた際に、チームメンバーの個々の強みをよく理解しているということが一つの要素として挙がった。そして、人の強みを見極める方法を身につけたいと思い今回読んだ本が『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』小野壮彦(2022)である。

ヘッドハンターである小野さん自身の経験から人を見極めるフレームワークなどが書かれており、人事目線での人の選び方の話が中心である。

なお、以前に書いたどんなリーダーになりたいかについて持論をまとめた記事は下掲の通り。

人を見極める4層構造

この『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』小野壮彦(2022)を知ったきっかけはYouTubeである。人を単に経歴と強み弱みで判断するのではなく、4つの階層で捉えて構造的に理解するという考え方は非常に勉強になる。

その階層というのは次の4つである。

  • 1F:経験・知識・スキル
    履歴書で分かるような表面的なもの。
  • B1:コンピテンシー
    行動特性。どんなシチュエーションでどんなアクションを取るかということ。大まかにはざっくりと「成果志向」「戦略志向」「変革志向」などに区分され、面接ではこれまでのエピソードトークを深堀することで判断する。
  • B2:ポテンシャル
    伸びしろ。それは「好奇心」「洞察力」「共鳴力」「胆力」の4つの因子で測定できる。それぞれの因子のエネルギーレベルを測定することで、その人の特性を知ることができ、未来の在り方を想像できるようになるもの。
  • B3:ソースオブエナジー
    使命感・劣等感などエネルギーの源泉=精神性のこと。

またこれは自己分析にも役に立つと考えられる。自分自身を自己分析する際に、それぞれの階層ごとに掘り下げて考えてみるのも良いかもしれない。

なお、この4つの階層の考え方にインスピレーションを受けて、モチベーションを階層に分けて考えてみようとしたのが、私の下掲の記事だ。

私自身はUSCPA勉強という長期戦を乗り切るために最も大切なものとして考えているのがモチベーションのコントロールであり、そのためモチベーションの維持に関する記事をいくつか書いているが、残念ながら比較的閲覧数は少なく、むしろFARの語呂合わせなどの小手先テクニックに関する記事の方が圧倒的に閲覧数が多い。

あえてもう一度言うが、私がUSCPA勉強で最も大切だと考えているのはモチベーションのコントロールである。いろんな方法があると思うが、それぞれのやり方でモチベーションをコントロールしてUSCPAの全科目合格を目指してほしい。

EVILな人を見極める

話が逸れたが、上記の人を見極める際の4つの階層の話の他に、興味深い思ったのは、”優秀だが有害な人(EVILな人)”がいるという前提で人を見極めなければならないと考えられている点だ。

相手をコントロールしようとする「マウント型」や自分の承認欲求のために周りを巻き込んでしまう「ナルシスト型」を典型的な有害な人だとこの本では書いてある。優秀な人の中にはこういう人もいるので、気を付けて採用しようという趣旨である。

あえてこのような、”優秀だが有害な人(EVILな人)”がいるという前提に立つことを、公にはっきりと主張するのは人事関連の本でもあまりないのではないだろうか。その点でこの本は珍しく興味深いと感じた。

しかし、個人的には「有害な人」を定義もすることも、またそれを認定することもなかなか難しいことなのではないかと想像する。また私の考えでは(この本からしてみれば綺麗ごとなのかもしれないが)、人は適材適所なので、人は使いようだと思う。与える役割と仕事で、この本で言われている有害さも強みになり得る可能性もあるのではないかと考える。

その観点からすると、この本でも述べられているZOZOの前澤さんの「じゃんけん採用」のエピソードは非常に面白い。どんな人を採用してもいい。どんな人でもその人の強みを見出して適材適所を心がければ、いい会社が出来上がるはずという考えは、まさに理想的な経営者の器ではないかと思う。(現場の猛反対で「じゃんけん採用」は中止となったようだが)

企業のカルチャーとは何か

他にこの本で印象に残ったのは「企業のカルチャー」に関しての話だ。

これまでの面接で何度も企業のカルチャーや雰囲気について質問したことがある。また逆に就活生からも同じ質問を何度も受けたことがある。その度にふんわりとした印象的・抽象的な回答しか得られていない・答えられていなかったのだが、この本では「企業のカルチャー」は2つの要素で決まるという。

それは「評価システム」と「権限譲渡システム」だ。

これは言われれば確かにその通りだなと思う。どんな人が評価されるか、どんな頑張りが評価されるかこそが企業カルチャーを形成する根底にあるものであると思うし、権限譲渡システムによってスピード感や意見の風通しが形成されると思う。この指摘を受けて、いままでふんわりとしたものと考えていた企業カルチャーに関する解像度が高まった。

次に読む本

今回の『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』小野壮彦(2022)を読もうと思ったのは、人の強みを見極められるようになりたいという気持ちからだったが、その観点からもう少しこういった人事関連の本を読んでみたいという気持ちがあるので、他にも良い本がないか探している。

またリーダー論についても引き続き勉強中で、今は稲盛和夫と渋沢栄一の本を読んでいる。結局、日本の文脈でビジネスにおけるリーダー論について勉強していくと行きつくのはそこになる。

むしろ稲盛和夫も渋沢栄一もリーダー論について述べているというよりは、「人たるもの、どうあるべきか」という観点で述べており、「人間力」こそがリーダー力なのだとはっきりと気づかされる。

そうなると今の流行りで書店に平置きになっているビジネス本などは薄っぺらく感じてしまい、結局は人間として正しく生きること、胸を張って堂々と生きれるような人生の選択を積み重ねていくことが根本として最も大切なのだと気づかされる。

これからもいろいろと勉強していきたい。それでは。

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